Sep 28, 2017

LHS and RHS

この図は英語の教科書の一部ですが,これを見ればLHS & RHSの意味が分かるのではないでしょうか.二次方程式を平方完成を用いて解いています.問題文の solve for exact values は,approximation(近似値)ではない正確な値,すなわちルートやπを使った値を要求しています.

解答の右側の{ }の1行目は「定数を右辺へ移項する」,2行目は「平方完成する」,3行目は「左辺を因数分解する(factoriseはUK式表現)」という意味なので,LHSは左辺,RHSは右辺を意味していると分かります.これらはleft-hand side,right-hand sideを省略した表現になっています.因みに横の吹き出しは「両辺に加える平方数はxの係数の半分の2乗」だと言っています.

長い用語を頭文字だけで表すabbreviation(略語)はよく目にします.新たにひとつの単語のように読むものをacronym(頭字語)といいますが(FOIL Methodで登場),アルファベットだけをそのまま読む場合はinitialismといいます.LHS & RHSはinitialismになります.他にも数学に関連するものを少し見てみましょう.

SSS, SAS, ASA, RHA, RHS, HL(Hypotenuse Leg Theorem, Donkey Theorem で登場)ここにもRHSがありましたね.こちらは right angle hypotenuse side の省略で,三角形の合同条件「直角三角形の斜辺と他の1辺が等しい」という意味になります.

SOHCAHTOA(SOHCAHTOAで登場した三角比の覚え方),他によく知られたもので,GCD(greatest common divisor=最大公約数),LCM(least common multiple=最小公倍数),QED(quod erat demonstrandum=証明終り),SD(standard deviation=標準偏差)などいろいろ思い浮かびますね.SDは,一般にはSDカード(secure digital memory card)が有名ですが,日本語をinitialismにしてしまうタレントのDAIGOさんによると,「外に出る」だそうです(笑).

他に対になっているものとしては,ODE (ordinary differential equation=常微分方程式) & PDE (partial differential equation=偏微分方程式) ,FTA (Fundamental Theorem of Algebra=代数学の基本定理) & FTC (Fundamental Theorem of Calculus=微分積分学の基本定理)などがあります.

Abbreviations.comというサイトには多数の略語が紹介されています.数学だけでも3000を超えています.そこには,LHSは一つだけだったのに対し,RHSは3つありました.あともう1つは rectangular hollow section(長方形中空断面)でした.このサイトでたまたまWME=Women and Mathematics Educationというのを見つけたので,何だろうと思って調べてみたら,こういう名称の団体であることが分かりました.

[Reference]
The difference between an acronym and an initialism
http://www.todayifoundout.com/index.php/2012/05/the-difference-between-an-acronym-and-an-initialism/
Abbreviations.com
http://www.abbreviations.com/

Sep 11, 2017

Antilogarithm

Anti-aging(アンチエイジング)といえば老化防止,抗加齢という意味ですね.Anti-warならば反戦というように,antiは主に「抵抗」とか「反対」という意味があります.

1でない正の数aを底とするMの対数 logaM における正の数Mを真数といい,英語ではこれをantilogarithmまたはantilogといって,対数関数の逆関数という意味も持っています.Common logarithm(常用対数)は,Log base 10 とか Briggs' logarithmともいいいますが,この log10M を logM と表すとき,
If logM=x, then M is called the antilogarithm of x and is written as M=antilogx. For example, if log39.2=1.5933, then antilog1.5933=39.2
(math-only-math.com)
The number of which a given number is the logarithm (to a given base). If x is the logarithm of y, then y is the antilogarithm of x.‎
(Wiktionary 英語版)
The inverse function of the logarithm, defined such that $\log_{b}(\mathrm{antilog}_{b}z)=z=\mathrm{antilog}_{b}(\log_{b}z)$. The antilogarithm in base b of z is therefore $b^z$.
(Wolfram MathWorld)
というわけで,指数関数も対数関数の逆関数ですから,底が10のとき,以下の3つの式は全て同じ意味になります.$$10^3=1000$$$$\mbox{antilog} \ 3=1000$$$$\log1000=3$$電卓がないときはcommon log table(常用対数表)を使いますが,antilog table(真数表)もあります.下の表から$10^{0.5678}=3.697$が得られます.因みに電卓を使うと,$10^{0.5678}=3.696579068$まで求められますが,WolframAlphaを使うと,希望すれば小数以下のかなり先まで表示してくれます.

余談ですが,三角比の表も円関数の真数表と呼んでいました.国立国会図書館デジタルコレクションの「對數表及眞數表」には,「常用對數表」の次に「圓函數ノ眞數表(三角比の表)」があり,その次には球面三角法で使われる「圓函數ノ對數表」すなわち10+log10(sinx°)の値の表(例えば10+log10(sin1°)=8.24186)が掲載されています.

因みに,似た用語で antiderivative(原始関数)がありますが,primitive function,primitive integral,indefinite integralとも呼ばれています.

[Reference]
Antilogarithm
http://www.math-only-math.com/antilogarithm.html
How to Use Log Tables
http://abitofauldmaths.org/2013/08/how-to-use-log-tables/
国立国会図書館デジタルコレクション 對數表及眞數表
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/826552
江戸の数学 > 第1部 和算の歴史 > 第5章 西洋数学の導入 > コラム 三角関数表 > 対数表
http://www.ndl.go.jp/math/s1/c8_3.html

Aug 18, 2017

Natural Number

Natural number(自然数)は,用語としては簡単ですが,意外なのはその定義が異なる場合があるということです.日本の学習指導要領で,natural numberの定義はpositive integer(正の整数){1, 2, 3, ....} なので,これが当然のように思われますが,場合によってはnon-negative integer(負でない整数){0, 1, 2, 3, ....} をnatural numberとする場合があります.つまりnatural numberに0を含む場合があるということです.海外の数学教科書には,natural numberに0を含む場合と含まない場合が混在しています.

ISO = International Organization for Standardization(国際標準化機構)が2009年に公表したISO 80000-2は,数学記号について定義している国際規格ですが,ここでは次のように書かれています.
2-6.1 $\mathbb{ N }$
the set of natural numbers,
the set of positive integers and zero
$\mathbb{ N }$ = {0, 1, 2, 3, ...}
$\mathbb{ N }^*$ = {1, 2, 3, ...}
この記述から判断するならば,自然数に0を含むのが国際標準といえそうです.余談ですが,ISO 80000-2英語版では"positive integer"なのにWikipedia日本語版の"ISO 80000-2"が「正の数」となっていたので,「正の整数」に訂正しておきました.これで修正したのは,たぶん5~6回目ぐらい,アカウント登録してからは2回目です(笑).

Whole number も integer(整数),またはpositive integer(正の整数),またはnon-negative integer(負でない整数)と説明されることがあり,定義がはっきりしないのですが,英語の本にはよく登場します.この3つの定義のどれかを掲載している辞書が多いのですが,ここ(THE FREE DICTIONARY)だけは3つの意味を併記していました.
whole number
1. A member of the set of positive integers and zero.
2. A positive integer.
3. An integer.
Counting number {1, 2, 3, ....} は文字通り「数える数=計数」ですが,意味はpositive integer(正の整数)で,比較的低学年の教科書によく登場します.

On-Line Encyclopedia of Integer Sequences = OEIS(オンライン整数列大事典)にはnatural numberの項目はなく,以下のようになっています.
A000027 {1, 2, 3, ...}
The positive integers. Also called the natural numbers, the whole numbers or the counting numbers, but these terms are ambiguous(しかしこれらの用語は曖昧). 
A001477 {0, 1, 2, 3, ...}
The nonnegative integers.
因みにOEISのA000045:Fibonacci numbers(フィボナッチ数)は,F(n)=F(n-1)+F(n-2) with F(0)=0 and F(1)=1と定義されていますが,Wikipediaでは,F(1)=1 and F(2)=1が併記されています.これは,数列の初項を0, 1のどちらからでも始めていいという意味だと思われます.

また,WolframMathWorldでは以下のように述べられています.
「自然数」という用語は、 「正の整数」{1,2,3,...}(OEIS A000027),「負でない整数」{0,1,2,3,...}(OEIS A001477)の中にあるが,自然数に0を含めるかどうかに関する一般的な合意はない.基準となる用語がないため, "counting number","natural number","whole number"より,"positive integer","non-negative integer"という用語を使用することを推奨する.
国立教育政策研究所が2016年に実施した「平成28年度全国学力・学習状況調査」の中学校第3学年数学Aにこんな問題が出てしまいました.
1  (2)  次のア~オまでの中から自然数をすべて選びなさい.
ア -5    イ 0    ウ 1    エ2.5    オ 4
正答例はウとオなんですが,海外で教育を受けた帰国生の中にはイも正解として答えた生徒もいるはずです.気になったので主催者にこのことを説明して何らかの考慮をしないのか問い合わせてみましたが,案の定「正答例の通りで,特に考慮はしない」との回答でした.

[Reference]
Natural Number
https://en.wikipedia.org/wiki/Natural_number
ISO 80000-2
https://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_80000-2
Natural Number
http://mathworld.wolfram.com/NaturalNumber.html
平成28年度全国学力・学習状況調査問題・正答例・解説資料について
http://www.nier.go.jp/16chousa/16chousa.htm

Aug 5, 2017

Diophantine Equations

古代ギリシャの数学者Diophantus(ディオファントス)の墓には彼の生涯を語る文章が書かれていて,それをもとに没年齢を求める一次方程式の応用問題が有名ですが,これはその一次方程式のことではありません.

Diophantine Equations(ディオファントス方程式)は,係数が整数で$ax+by=c$や$x^2+y^2=z^2$などの形をしたindeterminate equation(不定方程式=解が無数に存在する方程式)の総称で,他にもいくつかのパターンがあります.この中のひとつ,2012年からの日本の高等学校「数学A」に登場した「整数の性質」(2022年度から廃止)で学んだ$ax+by=c$の形の不定方程式は,cがaとbの最大公約数またはその倍数のときに整数解(x, y)が存在し,Bézout's identity(ベズーの等式)と呼ばれています.

簡単な例として,
$2x+3y=1$ …①
の整数解を求めてみましょう.まず簡単な数を代入してみて解を一組見つけます.例えば,
$2・(-1)+3・1=1$ …②
なので$(x,y)=(-1,1)$が一組の解になります.①から②を引くと
$2・(x+1)+3・(y-1)=0$
となり,移項すると
$2・(x+1)=-3・(y-1)$
になります.ここで2と3は互いに素(公約数が1だけ)だから,$x+1$は3の倍数でないといけないので$x+1=3k$(kは整数)と表すことができ,同様に$y-1=-2k$と表せます.よって,①のすべての整数解の組は
$(x,y)=(3k-1,-2k+1)$(kは整数)
と表せます.

もし最初に見つけた解が$(2,-1)$なら,同様にして
$(x,y)=(3k+2,-2k-1)$(kは整数)
となりますが,kの値が一つずれているだけで同じ解集合を表しています.これはグラフでいうと,直線$2x+3y=1$上の,lattice point(格子点=座標が整数になる点)を表しています.

ところが,
$73x+67y=1$ …③
のような大きい数になると,一組の解が簡単に見つかりません.そんな時はEuclidean Algorithm(ユークリッドの互除法)を使います.
$73=67\cdot 1+6$ より $6=73-67\cdot 1$
$67=6\cdot 11+1$ より $1=67-6\cdot 11$
右下の式に右上の式を代入すると,
$1=67-(73-67\cdot 1)\cdot 11=73\cdot (-11)+67\cdot 12$ …④
だから$(x,y)=(-11,12)$が一組の解になります.③から④をひくと
$73(x+11)+67(y-12)=0$
となり,移項すると
$73・(x+11)=-67・(y-12)$
になります.ここで73と67は互いに素だから,$x+11$は67の倍数でないといけないので$x+11=67k$(kは整数)と表すことができ,同様に$y-12=-73k$と表せます.よって,③のすべての整数解の組は
$(x,y)=(67k-11,-73k+12)$(kは整数)
と表せます.

因みに,碑文の問題はDiophantus's riddle(謎)とかDiophantus puzzle(パズル)とか呼ばれていて,一次方程式の応用問題としても有名ですが,Nintendo DSというゲームの"Professor Layton and Pandora's Box(レイトン教授と悪魔の箱)"の第142問目にも登場します.

【Diophantine Equations 問題】
(1) Two farmers agree that pigs are worth 300 dollars and that goats are worth 210 dollars. When one farmer owes the other money, he pays the debt in pigs or goats, with "change" received in the form of goats or pigs as necessary. (For example, a 390 dollar debt could be paid with two pigs, with one goat received in change.) What is the amount of the smallest positive debt that can be resolved in this way?
(A) 5  (B) 10  (C) 30  (D) 90  (E)  210

(2) Jack and Jill visit the cake shop every day, and Jack always buys jam doughnuts, and Jill chocolate éclairs. The jam doughnuts cost 0.95 each and the chocolate éclairs cost 0.97. At the end of the  week the non-itemised bill from the cake shop is 42.38. How much must each pay?
(解答はこちら

[Reference]
Diophantus's Riddle
http://mathworld.wolfram.com/DiophantussRiddle.html
Diophantine equation
https://en.wikipedia.org/wiki/Diophantine_equation
Diophantine equation
http://artofproblemsolving.com/wiki/index.php?title=Diophantine_equation
Number Theory Using Modular Arithmetic to Solve Indeterminate Equations
https://trans4mind.com/personal_development/mathematics/numberTheory/indeterminateEquationsCongruences.htm

Aug 1, 2017

Circular Functions

Trigonometric functions(三角関数)を,unit circle(単位円)を用いて定義した場合,circular functions(円関数)と呼ぶ場合があります.日本では主に三角関数と呼ばれていますが,英語の本ではCircular FunctionsもTrigonometric Functionsもよく使われています.

■Circular (Trigonometric) Functions 円関数(三角関数)
    sine, cosine, tangent
■Reciprocal Circular Functions 割円関数(割三角関数)
    cosecant, secant, cotangent
■Inverse Circular Functions 逆円関数(逆三角関数)
    arcsine, arccosine, arctangent

このように,circular functionsはcircle(円)を表す関数ではありません.Hyperbolic functions(双曲線関数)もhyperbola(双曲線)を表しません.円関数は円のparameter(媒介変数)表示に,双曲線関数は双曲線の媒介変数表示に使われるのでこの名がついています.

■円の媒介変数表示       $(x, y)=(\cos t, \sin t)$     →  $x^2+y^2=1$
■双曲線の媒介変数表示 $(x, y)=(\cosh t, \sinh t)$  →  $x^2-y^2=1$

世界中最も多くの国で普及している高校カリキュラム「国際バカロレアディプロマプログラム(IB Diploma Program)」のMathematics Higher Level(主に理系向き)ではReciprocal Circular FunctionsもInverse Circular Functionsも登場します.

因みにElliptic Functions(楕円関数)もellipse(楕円)ではありません.

[Reference]
"Mathematics HL Core (3rd edition)" Haese Mathematics

Jul 24, 2017

Babylonian Method

平方根の近似値を求めるアルゴリズムです.例えば,$\sqrt{5}$の推測値として最初にa=2とおいて,次の計算をします.$$\frac{1}{2}\left( a+\frac{5}{a} \right)$$この計算で得た値を新たに$a$とおいて,同じ計算を繰り返します.
\begin{align}
&\frac{1}{2}\left( 2+\frac{5}{2} \right)=\frac{9}{4}=2.25\\
&\frac{1}{2}\left( \frac{9}{4}+\frac{5}{\frac{9}{4}} \right)=\frac{161}{72}=2.236111111\cdot\cdot\cdot\\
&\frac{1}{2}\left( \frac{161}{72}+\frac{5}{\frac{161}{72}} \right)=\frac{51841}{23184}=2.236067978791\cdot\cdot\cdot\\
\end{align}$\sqrt{5}=2.236067977499\cdot\cdot\cdot$なので,3回の計算で驚くほど速く$\sqrt{5}$に近づいたことが分かります.この方法はBabylonian MethodまたはHero's method(Heroはあのヘロンの公式のヘロンと同一人物)と呼ばれています.

この式をよく見ると,$a$と$\frac{5}{a}$のarithmetic mean(算術平均=相加平均)を求める式になっています.面積が$s$になる長方形の1辺を$a$とすると,他の1辺は$\frac{s}{a}$になるので,これらの算術平均を新たな$a$として同じ計算を繰り返すと,正方形の1辺に近づいていくというわけです.

一般に$\sqrt{s}$を求める場合を漸化式で表せば次式になります.$$x_{n+1}=\frac{1}{2}\left( x_n+\frac{s}{x_n} \right)$$極限では$x_{n+1}$も$x_n$もほぼ同じなので,その値をαとおいて上式に代入すると,$$α=\frac{1}{2}\left( α+\frac{s}{α} \right)$$整理すれば,$α^2=s$すなわち,$α=\pm\sqrt{s}$となります.

これは17世紀頃に発見されたNewton's Method(ニュートン法)$$x_{n+1}=x_n-\frac{f(x_n)}{f'(x_n)}$$に$f(x)=x^2-s$を当てはめた式と同じになりますが,もちろん,Babylonian Methodの方がずっと早くに知られていたことになります.

急速に近似する様子を確かめるものをGeoGebraでつくってみました.試してみてください.

因みに,平方根の近似値を求める方法は,小数点から 2 桁ずつ区切って割り算のようにする方法 extraction of square root(開平法)がよく知られています.

<Reference>
Methods of computing square roots
https://en.wikipedia.org/wiki/Methods_of_computing_square_roots

Jun 9, 2017

Section Formula

conic section
切断面をcross sectionといい,特に円錐の切断面(円錐曲線)をconic sectionといいます.circle(円),ellipse(楕円),parabola(放物線),hyperbola(双曲線)がこれに含まれます.

section formulaといえばその関係の公式だと思ってしまいますが,これは2点A(x1),B(x2)を結ぶ線分ABをm:nに分ける点の公式$$\frac{mx_2+nx_1}{m+n}$$のことをいいます(n>0で内分,n<0で外分).でもよく見ると分子の項の順番が違いますね.日本の教科書では次の式のほうが一般的です.$$\frac{nx_1+mx_2}{m+n}$$もちろんどちらも同じ値になりますが,海外では上の式のほうが一般的です.

この式のnを正の数に限定してinternal division(内分)とexternal division(外分)を式で区別するなら,上の2式は内分点,次の2式は外分点になります.どちらが覚えやすいでしょうか.$$\frac{mx_2-nx_1}{m-n}$$$$\frac{-nx_1+mx_2}{m-n}$$
この公式は,coordinate geometry(座標幾何)だけでなく,vector(ベクトル)やcomplex plane(複素平面)でも登場するうえ,物理学ではcenter of gravity(重心)(またはcenter of mass(質量中心)ともいう)などを求めるのにも使われます.



この公式を使う文章題は見たことがなかったので,簡単なものを作ってみました.この公式を使って解いてみてください.
(問題)一直線の道で,Aさんが家から東へ2kmの地点に,Bさんが家から東へ8kmの地点にいる.Aさんは自転車で時速11km,Bさんは徒歩で時速5kmで進む.
(1) お互い向かい合って進むとき,家から何kmの地点で出会うか.
(2) お互い家から遠ざかる方向へ進むとき、家から何kmの地点でAさんがBさんに追いつくか.
(正解は右図です)

<reference>
Section Formula
https://brilliant.org/wiki/section-formula/
質量中心
http://www14.plala.or.jp/phys/tools/10.html

Apr 22, 2017

Translation

日常では「翻訳」としか訳すことがないtranslationですが,数学では「平行移動」という意味があり,移動のさせ方はベクトルで表します.日本の教科書でよく使われる「x軸方向に$p$,y軸方向に$q$平行移動したもの」という言い方は,a translation of $\left( \begin{array}{c} p \\q \\ \end{array} \right)$とか,be translated through $\left( \begin{array}{c} p \\q \\ \end{array} \right)$のように表されます.他にshiftやmoveという用語も使われることがあります.

向きも形も変えない移動だけのtranslationに加えて,向きの変わるrotation(回転移動),reflection(対称移動),大きさの変わるscaling / resizing / zooming(拡大縮小),傾斜するshear / skew(せん断)など,図形の平行を保つlinear transformation(一次変換)を合わせてaffine transformation(アフィン変換)といい、さらに拡張して図形の平行を保たない場合もある変換をprojective transformation / homography(射影変換)といいます.

rotation  $\left( \begin{array}{ccc} \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{array}\right)$$\begin{pmatrix} x  \\ y \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x\cos \theta-y\sin \theta \\ x\sin \theta+y\cos \theta \end{pmatrix}$   $ \theta $回転

scaling  $\begin{pmatrix} a & 0 \\ 0 & b \end{pmatrix}$$\begin{pmatrix} x  \\ y \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} ax  \\ by \end{pmatrix}$  横にa倍,縦にb倍拡大縮小

shearing  $\begin{pmatrix} 1 & t \\ s & 1 \end{pmatrix}$$\begin{pmatrix} x  \\ y \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x+ty  \\ sx+y \end{pmatrix}$ 横にyのt倍移動,縦にxのs倍移動するせん断(長方形が平行四辺形になります)

translation  $\begin{pmatrix} x  \\ y \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} p  \\ q \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x+p  \\ y+q \end{pmatrix}$  x軸方向に$p$,y軸方向に$q$平行移動

以上のように,2×2行列を掛ける一次変換では(0,0)が(0,0)に移るのでtranslationを表すことはできないし、平行を保つのでprojective transformationを表すことはできません.しかし,座標(x, y)を(x, y, 1)と表すことでこれらをすべてまとめて表すことができます.そのため,変換行列を3×3にして(3, 3)成分を1とします。

rotation  $\left(  \begin{array}{ccc}   \cos \theta  & -\sin \theta  & 0 \\ \sin \theta  & \cos \theta  & 0 \\0 &0 &1\end{array}\right)\left(  \begin{array}{ccc}   x\\ y\\1\end{array}\right)=\left(  \begin{array}{ccc}   x\cos \theta -y\sin \theta \\ x \sin \theta + y \cos \theta \\ 1 \end{array} \right) $

scaling  $\left(  \begin{array}{ccc}   a  & 0  & 0  \\ 0  & b  & 0 \\ 0  & 0  & 1 \end{array}\right)\left(  \begin{array}{ccc}   x  \\ y \\ 1 \end{array}\right)=\left(  \begin{array}{ccc}   ax  \\ by \\ 1 \end{array}\right)$

shearing  $\begin{pmatrix} 1 & t &0 \\ s & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}$$\begin{pmatrix} x  \\ y \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} x+ty  \\ sx+y \\ 1 \end{pmatrix}$

translation  $\left(  \begin{array}{ccc}   1  & 0  & p  \\ 0  & 1  & q \\ 0  & 0  & 1 \end{array}\right)\left(  \begin{array}{ccc}   x  \\ y \\ 1 \end{array}\right)=\left(  \begin{array}{ccc}   x+p  \\ y+q \\ 1 \end{array}\right)$

因みに,映画"Transformers"(変形ロボット),映画"The Transporter"(運び屋)はありましたが,映画"Translator"はまだないですね(笑).

<Reference>
Function Translations
http://www.purplemath.com/modules/fcntrans.htm

Quick Reviews on Local Descriptors, SIFT and Single Object Recognition by Fei-Fei Li.
https://sensblogs.wordpress.com/2011/08/23/quick-reviews-on-local-descriptors-sift-and-single-object-recognition-by-fei-fei-li/

Apr 4, 2017

First Principles

直訳すると「第一原理」となるfirst principlesは形而上学や自然科学における用語としては「他のものから推論することができない命題」という意味があります.数学では定義や公理がこれに当たり,「定理を導くための前提となる命題」ともいえます.

微分の問題で,differentiate from first principlesといわれたら,直訳すれば「第一原理から微分せよ」となりますが,これは「定義に従って微分せよ」という意味で,find the derivative by (using the) limit definitionという表現をする場合もあります.

具体的には,次のlimit definition(微分の定義)の式を使って,derivative(導関数)を求めよという意味になります.$$\begin{align} f'(x) &= \lim_{h\to 0} \frac{f(x + h) - f(x)}{h} \\ &= \lim_{Δx\to 0}\frac{f(x + Δx) - f(x)}{Δx}\end{align}$$よく$h$が使われますが,$Δx$,$δ$,dもよく使われるので,delta methodとも呼ばれています(deltaの大文字は$Δ$,小文字は$δ$,alphabetのdに当たります).

数学で導関数という意味のderivativeは,言語学では派生語,経済学では金融派生商品,化学では誘導体などいろいろな意味があります.「派生する」という動詞deriveのderivative(派生語)になっています.つまり,"derivative"はderivativeです(笑).

例えばtanxの微分は,sinx,cosxを微分してからquotient rule(商の微分)を用いて次のようにすることが多いのですが,$$\begin{align}(\tan x)'  &= \left(\dfrac{\sin x}{\cos x}\right)' \\ &= \dfrac{(\sin x)'\cos x-\sin x(\cos x)'}{\cos^2 x} \\ &= \dfrac{\cos^2x+\sin^2x}{\cos^2 x} \\ &= \dfrac{1}{\cos^2x} \\ &= \sec^2 x \end{align}$$これを微分の定義に従って計算すると次のようになります.$$\begin{align}(\tan x)' &= \lim_{h\to 0}\frac{\tan(x+h)-\tan x}{h} \\ &= \lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left(\dfrac{\tan x+\tan h}{1-\tan x\tan h}-\tan x\right) \\ &= \lim_{h\to 0}\dfrac{1}{h}\left(\dfrac{\tan h+\tan^2 x\tan h}{1-\tan x\tan h}\right) \\ &= \lim_{h\to 0}\dfrac{\tan h}{h}\cdot\dfrac{1+\tan^2 x}{1-\tan x\tan h} \\ &= \lim_{h\to 0}\dfrac{\sin h}{h}\cdot\dfrac{1}{\cos h}\cdot\dfrac{1}{1-\tan x\tan h}\cdot\dfrac{1}{\cos^2 x} \\ &= 1\cdot 1\cdot \dfrac{1}{1-0}\cdot \sec^2 x
 \\ &= \sec^2 x \end{align}$$【First Principles 問題】
Differentiate lnx(=logex) from first principles.
定義に従ってlnx(=logex)を微分せよ.
(正解はこちらです)

<Reference>
The Derivative from First Principles - Interactive Mathematics
http://www.intmath.com/differentiation/3-derivative-first-principles.php

Jan 6, 2017

p-series


雑誌や新聞等の連載記事,同テーマで続けて出版される書籍、テレビなどの連続番組,一定期間行われるスポーツの試合などをseriesといいますが,数学では数列の総和をseries(級数)といい,有限数列の和や無限数列の中の有限個の部分和は有限級数,無限数列の和は無限級数といいます.そして,和がある値に確定するときはその値を級数の和といいます.これでは級数の和は「数列の和の和」という意味になってしまいますが,級数は一般にΣまたは+と…などの記号で表したもので,値が確定した場合にのみ,その値を級数の和といいます.

Calculus(微分積分)のconvergence tests(収束判定)の中でよく登場する級数のひとつにp-series(p-級数)$$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^p}=\dfrac{1}{1^p}+\dfrac{1}{2^p}+\dfrac{1}{3^p}+\cdots$$があります.これはp=-qとすれば$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}{n^q}$と表すこともできるのですが,逆数の和ということを強調するためにこう表しています.pの範囲を1より大きい数とする場合,正の数とする場合,実数とする場合などがありますが,p>1で収束し,p≤1で発散するので,Leonhard Euler(1707-1783)の時代はp>1のときにどんな値に収束するのかが主に話題になっていました.例えばp=2のとき,$$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^2}=\dfrac{1}{1^2}+\dfrac{1}{2^2}+\dfrac{1}{3^2}+\cdots=\frac{\pi^2}{6}$$となること(Basel problem)もEulerが発見しました.

P-seriesで特にp=1のときは,harmonic series(調和級数)$$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n}=\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\cdots$$といい,項が限りなく0に近づくのに∞に発散する(値が無限に大きくなる)ことがよく知られています.この証明は多くの書籍やサイトで解説されていますので探してみてください.

P-seriesのpはpower(冪=べき)を意味するようですが,power series(冪級数)$$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}{a_nx^n}=a_0+a_1x+a_2x^2+a_3x^3+\cdots$$とは別のものなので,p-seriesのpは,当初positive power(正の冪)のときだけを考えるという意味のpだったのではないかと思います.

因みに,p-seriesの式は,Riemann zeta function(リーマン-ゼータ関数)$$\zeta(s)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^s}=\dfrac{1}{1^s}+\dfrac{1}{2^s}+\dfrac{1}{3^s}+\cdots$$でsをpで表したときと同じ式になっています.後に,Bernhard Riemann(1826-1866)が解析接続をした(定義域を複素数へ広げた)とき,$\zeta(s)$の表記を使ったことに敬意を表して変数にはsが用いられているそうです.

<reference>
Series Convergence Tests
http://aleph0.clarku.edu/~djoyce/ma122/posseries.pdf
"Calculus For Dummies"
by Mark Ryan (2003 For Dummies)
Riemann Zeta Function
http://mathworld.wolfram.com/RiemannZetaFunction.html

Dec 6, 2016

Arbelos and Salinon

図のような大きなsemicircle(半円)と,その直径上に中心を持つ2つの半円で囲まれた部分をarbelos(アルベロス=αρβηλος)といいます.古代ギリシアの「靴屋のナイフ(arbelos)」に似ているのでこのように呼ばれています.

Arbelosの面積は,中の2つの半円の半径をa, bとすると,$$\frac{\pi(a+b)^2}{2}-\frac{\pi a^2}{2}-\frac{\pi b^2}{2}=\pi ab$$となりますが,これは,中の2つの半円の共通接線と大きい半円との交点を結ぶ線分CDを直径とする円の面積に等しくなっています.(Archimedes' Book of Lemmas Proposition 4 アルキメデスの補助定理集命題4)

Arbelosはギリシャ時代にBook of Lemmasに登場してから現在までいろいろな研究がされ,江戸時代の和算でも多く登場しています.中の2つの半円の半径の比がa:b=1:1のときのArbelosは,漫画「和算に恋した少女」第2巻にも登場しました.

似たような形で,図のような大きな半円と,その直径上に中心を持つ3つの半円(両端の半円は同半径)で囲まれた部分をsalinon(サリノン=σαλινον)といい,ギリシャ語で「塩入れ(salt-celler)」を意味します.

Salinonの面積は,中の両端の半円の半径をa, 中央の半円の半径をbとすると,$$\frac{\pi(2a+b)^2}{2}-\pi a^2+\frac{\pi b^2}{2}=\pi(a+b)^2$$となりますが,これは図の最上点と最下点を結んだ線分を直径とする円の面積に等しくなります.(Archimedes' Book of Lemmas Proposition 14)

Arbelosの形をした大きな彫刻がNederland(オランダ)にあります.Kaatsheuvel(カーツスフーフェル)という村の中央を走る高速道路Midden-Brabantweg(ミッデン=ブラバント通り)沿いにあり,高さは24mもあります.Googleのstreet viewで探したところ,51°39'37.4"N 5°03'26.1"Eという位置にありました.2016年6月の撮影でしたが,正面から全体を見ると,目の前の街灯が邪魔をしていて少し残念でした.探してみてください.
(左:街灯設置前,右:街灯設置後)

<Reference>
アルベロス 3つの半円がつくる幾何宇宙
岩波科学ライブラリー 2010年 奥村博/渡邉雅之

Book of Lemmas

★SalinonをGeoGebraで作ってみました.aの値を変えてみてください.
https://www.geogebra.org/m/qtVmj2p5

Nov 13, 2016

Intercept Theorem

さえぎる、横取りする、傍受する、迎撃する,球技で相手のパスを奪うなど,いろいろな意味を持つinterceptですが、数学でよく使われるのは,グラフでいう切片です.普通,interceptはy-intercept(y切片),すなわちy軸との交点のy座標のことをいい,x-intercept(x切片)はx軸との交点のx座標のことをいいます.

一方,切片はもともと切れ端という意味もあるので,secant(割線)やtransversal(横断線)によって切り取られるsegment(線分)もこう呼ばれます.

figure 1
Intercept theoremは,2本の交わる直線と複数の平行な直線が交わってできるsegment(平行な直線によって切り取られる線分)の比が等しいという定理で,図1の場合なら
a:b=c:d
が成り立つという定理です.日本の中学数学3の教科書では,「平行線と線分の比の定理」と呼ばれています.英語でThales' Theoremと呼ばれる場合もありますが,同名の異なる定理が他にもあるのであまりこう呼ばない方がいいかも知れません.

figure 2
[証明]2つの三角形は容易に相似と分かりますから,図1右の場合,相似比より,
a:b=c:d
図1左の場合,相似比より,
a:(a+b)=c:(c+d)
⇔a(c+d)=c(a+b)
⇔ac+ad=ac+bc
⇔ad=bc
⇔a:b=c:d

図1の突き抜けた部分を削除した図2の場合は,triangle intercept theoremといい,日本の中学数学3の教科書の相似のところで登場する「三角形と比の定理」がこれに当たります.

figure 3
この定理を利用して証明できるもので,angle bisector theorem(角の二等分線定理)があります.図3のように,△ABCで∠Aの二等分線と直線BCとの交点をDとするとき、AB:AC=BD:DCが成り立つという定理です.証明方法はいくつかありますが,BAの延長線上にAD//ECとなる点Eをとる方法がよく知られています.

日本の中学数学3の教科書ではtriangle intercept theoremの後に,midsegment theorem 別名 midpoint (connector) theorem (中点連結定理=中国語では「中點定理」)が登場します.

<中点連結定理> midsegment theorem / midpoint (connector) theorem
△ABCの2辺AB,ACのそれぞれの中点を結んだ線分は,残りの辺BCと平行かつ長さはその半分となる.

<中点連結定理の逆>
△ABCの2辺AB,AC上に端点を持つ線分が,残りの辺BCと平行かつ長さがその半分となるとき,線分の端点は各辺の中点になる.

次の場合も「中点連結定理の逆」と呼ばれる場合があります.
△ABCの辺ABの中点Mを通り辺BCに平行な直線と、残りの辺ACとの交点Nは、辺ACを二等分する.(triangle intercept theorem 中国語では「截線(せっせん)定理」)

<Reference>
Intercept theorem - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Intercept_theorem
中点連結定理 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E7%82%B9%E9%80%A3%E7%B5%90%E5%AE%9A%E7%90%86

Oct 6, 2016

Method of Differences

異なることを同じ用語で呼ぶ場合があります.この method of differences という用語は数列において2つの場合に使われます.

そのひとつは,telescoping series(望遠鏡級数または畳み込み級数)、すなわち,中の符号の異なる項が次々に消えていき,最初と最後の和で全体の和が求まるような級数,例えば$$\sum_{k=1}^n \frac{1}{k(k+1)}=\sum_{k=1}^n\left(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\right)$$のような級数ですが,このようなtelescoping sum(望遠鏡和または畳み込み和)を用いる方法をmethod of differences といいます.このtelescopingは,いくつか半径の異なる鏡筒でできた望遠鏡を畳み込むと最初から最後までの鏡筒がひとつにまとまることから来ています.

一方,difference sequence(階差数列)を考えて一般項を求める方法も method of differencesと呼ばれています.(a)初項に階差数列のn-1項の和を加える方法の他に,(b)二項定理に似た方法,(c)連立方程式を用いる方法があります.

(a)初項に階差数列のn-1項の和を加える方法
元の数列{an}の第1階差数列を{bk}とするとき,an=a1+Σbk(ただしΣはn-1までの和)で求めます.第2階差{cn},第3階差{dn}まで考えるときも,{dn}から{cn}を求め,{cn}から{bn}を求め,{bn}から{an}を求めます.

<例1> (第2階差数列が定数列になるとき、もとの数列を2階等差数列といいます)
{an} 5, 10, 17, 26, 37, …
{bn}   5,  7,  9,  11, …
{cn}     2,  2,  2, ….
an=5+Σ(2k+3)(ただしΣはn-1までの和)
   =n^2+2n+2

<例2> (3階等差数列)
{an} 2, 12, 36, 80, 150, 252, …
{bn}   10, 24, 44, 70, 102, …
{cn}     14,  20, 26, 32, …
{dn}        6,   6,  6, …
bn=10+Σ(6k+8)
   =3n^2+5n+2
an=2+Σ(3k^2+5k+2)
   =n^3+n^2

(b)二項定理に似た方法
a1=a1(係数が1)
a2=a1+b1(係数が1,1)
a3=a2+b2
   =a1+b1+b1+c1
   =a1+2b1+c1(係数が1,2,1)
a4=a3+b3
   =a1+2b1+c1+b1+2c1+d1
   =a1+3b1+3c1+d1(係数が1,3,3,1)
...
an=a1+n-1C1・b1+n-1C2・c1+n-1C3・d1+...(+0になるまで)

<上と同じ例1> (2階等差数列)
{an} 5, 10, 17, 26, 37, …
{bn}   5,  7,  9,  11, …
{cn}     2,  2,  2, …
an=5+(n-1)・5+{(n-1)(n-2)/2}・2 (cnの次から0なのでc1で終わり)
   =n^2+2n+2

<上と同じ例2> (3階等差数列)
{an} 2, 12, 36, 80, 150, 252, …
{bn}   10, 24, 44, 70, 102, …
{cn}     14,  20, 26, 32, …
{dn}        6,   6,  6, …
an=2+(n-1)・10+{(n-1)(n-2)/2}・14+{(n-1)(n-2)(n-3)/3!}・6 (dnの次から0なのでd1で終わり)
   =n^3+n^2

<例3 [Explicit Formula 問題]に出てきたMoser's Circle Problem> (4階等差数列)
{an} 1, 2, 4, 8, 16, 31, …
{bn}   1, 2, 4, 8, 15, …
{cn}     1, 2, 4, 7, …
{dn}       1, 2, 3, …
{en}         1, 1, …
an=1+(n-1)・1+(n-1)(n-2)/2・1+(n-1)(n-2)(n-3)/3!・1+(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)/4!・1 (enの次から0なのでe1で終わり)
   =1/24(n^4−6n^3+23n^2−18n+24)

(c)連立方程式を用いる方法
第m階差数列が定数列になるとき、もとの数列をm階等差数列といいますが,m階等差数列なら一般項がm次式になることが分かっているので,anをnのm次式とおいて,係数を連立方程式を解いて求めます.

<上と同じ例1> (2階等差数列 m=2の場合)
{an} 5, 10, 17, 26, 37, …
{bn}   5,  7,  9,  11, …
{cn}     2,  2,  2, …
an=an^2+bn+cとおいて,
a1= a+ b+ c= 5
a2=4a+2b+c=10
a3=9a+3b+c=17
を解くと,a=1, b=2, c=2を得るので,
an=n^2+2n+2

<上と同じ例2> (3階等差数列 m=3の場合)
{an} 212, 36, 80, 150, 252, …
{bn}   10, 24, 44, 70, 102, …
{cn}     14,  20, 26, 32, …
{dn}        6,   6,  6, …
an=an^3+bn^2+cn+dとおいて,
a1= a+ b+ c+ d= 2
a2=8a+4b+2c+d=12
a3=27a+9b+3c+d=36
a4=64a+16b+4c+d=80 
を解くと,a=1, b=1, c=0, d=0を得るので, 
an=n^3+n^2 
 

図はこの連立方程式を解いたTI84というGDC(グラフ電卓)の画面です.このrrefは与えられた行列[A]を左基本変形した行列(reduced row-echelon form)を示しています.

<Reference>
望遠鏡和
http://integers.hatenablog.com/entry/2015/11/27/200158

Mathematics Higher Level (Core) 3rd Edition (IBID Press)

Finding the Next Number in a Sequence: Common-Difference Examples
http://www.purplemath.com/modules/nextnumb2.htm

Sep 25, 2016

Rise Over Run

英語で分数$$\frac{a}{b}$$は"a over b"とか,"a divided by b"と読みます.このrise over runは,分数$$\frac{rise}{run}$$のことで,直訳すれば「登り/走り」となりますが,意味はグラフでいうと,"vertical change / horizontal change"(垂直方向の変化/水平方向の変化),または「y軸方向の変化量/x軸方向の変化量」,または「yの増加量/xの増加量」.さらに言い換えると,正比例のconstant of proportionality(比例定数),一次関数のslope or gradient(傾き),関数のrate of change(変化の割合)またはaverage rate of change(平均変化率),グラフのsecant line(割線)の傾き,運動ではaverage velocity(平均の速度)を意味します.

動画サイトで関連のものを探したら,Slope = Rise over Run. "You have to RISE before you RUN"というのがありました.やはり,英語で分数は上から読むからでしょう.

因みに,接線はtangent line,微分係数(瞬間変化率)はinstantaneous rate of changeといいます.

Sep 20, 2016

Explicit Formula

数列のgeneral term(一般項)はn-th term(第n項)ともいいますが,nに数値を代入したら直接n番目の項が求められる,つまり求め方がはっきりと示されているので,explicit formula(明示的公式)と呼ばれる場合があります.これに対し,recurrence relation(漸化式)のことをrecursive formula(再帰的公式)という場合があります.

明示公式と呼ばれるものはいくつかあるのですが,明示公式といえば数学では「リーマンの明示公式」=「Riemann's prime number formula(素数公式)」が有名です.これは$x$以下の素数の個数を表す関数$\pi(x)$のことなのですが,全く別の難しい式になります.

日本の高校数学の教科書で,数列の項はa1, a2, a3,…でを表す場合が多いのですが,英書ではu1, u2, u3,…がよく使われ,GDC(グラフ電卓)でもSEQモード(数列モード)にするとuが使われています.これはある用語の頭文字ではないかなと思って調べてみたら,こんな文章が見つかりました.
If a sequence is composed of elements or terms it belonging to some set S, then it is conventional to indicate their order by adding a numerical suffix to each term. Consecutive terms in the sequence are usually numbered sequentially, starting from unity, so that the first few terms of a sequence involving u would be denoted by u1, u2, u3,... . Rather than write out a number of terms in this manner this sequence is often represented by {un}, where un is the nth term, or general term, of the sequence.
Mathematics for Engineers and Scientists, Sixth Edition (Alan Jeffrey) 
というわけで,1を意味するunityから来ているようです.調べる前はunitではないかと思ったのですが,当たらずとも遠からずでした.

等差数列は直訳のsequence of numbers with common differenceよりもarithmetic progressions(略してAPs)またはarithmetic sequence(直訳は算術数列)という言い方が多いです.これは等差数列a, b, cの等差中項$b=\frac{a+c}{2}$はarithmetic means(算術平均または相加平均)でもあるからです.同様に等比数列もgeometric progressions(略してGPs)またはgeometric sequence(直訳は幾何数列)といいます.これは等比数列a, b, cの等比中項$b=\sqrt{ac}$はgeometric means(幾何平均または相乗平均)でもあるからです.

[Explicit Formula 問題]
Moser
n points are placed around a circle so that when line segments are drawn between every pair of the points, no three line segments intersect at the same point inside the circle. We consider the number of regions formed within the circle.
a) Draw the cases n = 4 and n = 5.
b) Use the cases n = 1, 2, 3, 4, 5 to form a conjecture about the number of regions formed in the general case.
c) Draw the case n = 6. Do you still believe your conjecture?
(正解はこちら

<Reference>
Mathematics for Engineers and Scientists, Sixth Edition (Alan Jeffrey)

Mathematics HL (Core) for use with IB Diploma Programme third edition (Haese Mathematics)

Aug 29, 2016

Quadratic Formula

二次方程式はquadratic equation,二次関数はquadratic function,二次式はquadratic expressionといいますが,なぜ二次はsecond degreeではないのでしょうか.Wolfram Math World には,このように書かれてありました.
The Latin prefix quadri- is used to indicate the number 4, for example, quadrilateral, quadrant, etc. However, it also very commonly used to denote objects involving the number 2. This is the case because quadratum is the Latin word for square, and since the area of a square of side length x is given by x^2, a polynomial equation having exponent two is known as a quadratic ("square-like") equation. 
ラテン語の接頭辞quadriは4という数字を示しているが,2という数字を含むものも表していた.Quadratumはラテン語の正方形という意味であり,その1辺をxとすると面積はxの2乗になることから,2乗を含む方程式はquadraticな(正方形的な)方程式として知られていた.という理由のようです.

というわけで,quadratic formulaは二次方程式の解の公式のことです.Quadratic Formula Song(解の公式の歌)が動画サイトで多数見つかります.親しみやすそうなものを2つ選んでみました.
♪Pop! Goes the Weasel 
<Math Version>
x equals negative b
plus or minus the square root
of b squared minus 4ac
all over 2a 
<Actual Song>
All around the mulberry bush,
The monkey chased the weasel.
The monkey thought 'twas all in fun.
Pop! goes the weasel.
桑の木の周りで
サルがイタチを追っかけた
サルはとても楽しんだ
イタチがぴょんと跳ねた
all over 2aはこの前がすべて分子で2aが分母という意味です.また,'twasは"it was"の省略形です.
♪Row Row Row Your Boat 
<Math Version>
x equals opposite b
plus or minus the square root
of b squared minus 4ac
divided by 2a 
<Actual Song>
Row, row, row your boat
Gently Down the stream.
Merrily, merrily, merrily, merrily,
Life is but a dream.
ボートを漕ごう
そっと流れに乗って
陽気に楽しく
人生はただの夢
なぜnegative bではなく,opposite bなのかという説明が動画の中にありました.bがnegative number(負の数のときは)符号が変わってpositive number(正の数)になるからだそうです.

因みに,Quadratic Formulaは別名,Midnight Formulaといいます.

<Reference>
Wolfram Math World : Quadratic

世界の民謡・童謡
http://www.worldfolksong.com/

Aug 22, 2016

Long Division

Quotient-remainder theorem(商と余りの関係 or 割り算の原理)より,整数や整式はA÷Bに対して商Qと余りRが必ずあり,
A=BQ+R  (0≤R<B)
となることから,この割り算で商と余りを求めることを,Euclidean division(ユークリッド除法)またはentire division(整除法)といい,そのための筆算をlong division(長除法)といいます.Longに対してshort division(短除法)は,下に計算を書かない方法です.式の割り算や平方根の開平のための筆算もlong divisionといいます.発音の似た言葉で,Long Vacationは私の好きな大瀧詠一のアルバム,Long Versionは私の好きな稲垣潤一の歌です(笑).

expanded synthetic division
2次式以上の整式を1次式で割るのに筆算より速い方法として,synthetic division(組立除法)が知られていますが,これを拡張して,2次式や3次式で割る方法をexpanded synthetic divisionといいます.例えば3次式x^3-12x^2-42を2次式x^2+x-3で割る場合,図のように計算し,商はx-13,余りは16x-81を得ます.やり方はguessしてみてください.

Lattice Method
因みに,2数の最大公約数を求める方法として,Euclidean algorithm(ユークリッドの互除法)があります.同様に乗法の筆算をLong Multiplicationといいます.他にも手計算で乗法を行う方法にLattice Methodがあります.例えば,948×827は図のような格子状の図を描いて783996を計算します.やり方はguessしてみてください.

<Reference>
Synthetic division
https://en.wikipedia.org/wiki/Synthetic_division

Lattice Method
http://mathworld.wolfram.com/LatticeMethod.html

Aug 16, 2016

Null Factor Law (NFL)

「ab=0ならばa=0またはb=0である」という性質を,Null Factor Law (NFL)といいます.日本語訳は特にありません.ただnull factor(零因子)という用語はあって,nil factorまたはzero divisorともいいます.例えば行列ではNFLは成り立たず,「AB=0を満たす0でない行列A,B」があり,これらを零因子といいます.整数,実数,複素数などではab=0になるのはa=0またはb=0のときしかなく,これを零因子と呼ぶか呼ばないかというのは,代数学の環論という分野でのお話になります.NFLはzero-product propertyといういい方もよく使われます.

日本では中3で初めてquadratic equation(二次方程式)が登場しますが,解法は大きく分けて2つあります.
(M1) Factorising and using the Null Factor Law(因数分解してNFLを利用)
(M2) Quadratic formula(二次方程式の解の公式,別名midnight formula

(M1)の手順は次の1-3です.

1. If necessary, rearrange to get 0 on the right hand side.(必要なら右辺を0にする)

2. Factorise(次の(1)-(5)のいずれかで因数分解する)
(1) By taking out a common factor(共通因数をくくり出す)  
$x^2−4x=0$
$x(x−4)=0$
(2) By using the difference of two squares rule(平方の差の公式) 
$4x^2−9=0$
$(2x+3)(2x-3)=0$ 
(3) By using the shortcut if a=1($x^2$の係数が1の場合に手短かに解く方法)
$x^2+3x−10=0$
$(x+5)(x–2)=0$
(4) By using the full method if a<>1($x^2$の係数が1でない場合に手短かでなく一般的に解く方法Crisscross Methodの2.1参照)
$3x^2−10x−8=0$
$3x^2−12x+2x−8=0$
$3x(x−4)+2(x−4)=0$
$(x−4)(3x+2)=0$
(5) By completing the square(平方完成)
$x^2+6x+4=0$
$x^2+6x+9+4−9=0$
$(x+3)^2−5=0$
$(x+3)^2−(\sqrt{5})^2=0$
$(x+3+\sqrt{5})(x+3−\sqrt{5})=0$
3. use the Null Factor Law(NFLを使う)
上の(1)の続き ((2)~(5)は省略)
$x(x−4)=0$
$x=0$または$x-4=0$ (NFL)
$x=0$または$x=4$
一般にNFLといえばNational Football League(アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ)の方がずっと有名ですね.

<Reference>
Quadratic Equations
https://bhs-methods10.wikispaces.com/08-quadratic-eqns


Aug 15, 2016

Sum and Product of Roots


直訳すれば「根の和と積」という意味ですが,高校数学で登場する「二次方程式の解と係数の関係」のことです.これをn次方程式に一般化したものはVieta's formulas(ヴィエタの公式)といいますが,二次方程式の場合だけでもVieta's formulasと呼ぶ場合があります.

二次方程式の解と係数の関係は,2解を$\alpha$,$\beta$とすれば,$$ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)=a(x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta)$$の係数を比較して,$$\alpha+\beta=-\frac{b}{a}, \quad \alpha\beta=\frac{c}{a}$$となりますが,これがn次式方程式になると,n個の解を$r_i$で表せば,$$a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0 = a_n(x-r_1)(x-r_2)\cdots(x-r_n)$$右辺を展開して,
$$a_nx^n - a_n(r_1+r_2+\!\cdots\!+r_n)x^{n-1} + a_n(r_1r_2 + r_1r_3+\! \cdots\!+ r_{n-1}r_n)x^{n-2}$$$$+\! \cdots\! + (-1)^na_n r_1r_2\cdots r_n$$
左辺と係数比較して,$$r_1+r_2+\cdots+r_n=-\frac{a_{n-1}}{a_n}$$$$r_1r_2+r_1r_3+\cdots+r_{n-1}r_n=\frac{a_{n-2}}{a_n}$$$$\vdots$$$$r_1r_2\cdots r_n= (-1)^n \frac{a_0}{a_n}$$となります.

似たような名前で,Viète's formula(ヴィエトの公式)というのがあります.これはπ(PI=円周率)を無限積表示する次の公式です.$$\pi=2\prod^{\infty}_{n=1}\frac{2}{a_n}$$(ただし,$a_n$は次の漸化式を満たす数列 $a_{n+1}=\sqrt{2+a_n}$, $a_1 =\sqrt{2}$)

実はVietaとVièteは,フランスの数学者François Viète(1540–1603)のラテン語表記と仏語表記です.非常に珍しい例ですが,同一人物の名前がついているのに異なる公式になっています.同一人物なんだから同じ名前の表現を使いたいというときは,Vieta's root formulasとVieta's formula for PI,またはViète's lawsとViète's formulaと呼ぶ場合があります.

<Reference>
Vieta's formulas - Art of Problem Solving
https://www.artofproblemsolving.com/wiki/index.php?title=Vieta%27s_Formulas

Jul 19, 2016

Donkey Theorem

このdonkeyという言葉は,ロバという意味の他に「バカ」という意味もあり,ロバの別名であるassは俗語で「尻」という意味もあります.三角形の合同条件のひとつとして,「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい(SAS=Side-Angle-Side)」が知られていますが,「2組の辺とその間にない角がそれぞれ等しい(ASSまたはSSA)」という条件は,図のようにambiguous case(一意に定まらない場合)になります.これが合同条件として成り立たないということと,donkeyとassの意味とを掛けて,donkey theoremと呼んでいます.これはバカにして呼んでいるので,正しく成り立つ定理の名称ではありません.
    
  
  

三角形の辺と角の関係を細かく分類してみましょう.すべて最後に「がそれぞれ等しい」を省略しています.

①SSS=SSS 「3組の辺」 congruent(合同)
「直角三角形の斜辺と他の1辺」は三平方の定理を既知とすればもう1辺はすぐに求められるのでここに含まれます.

②SAS=SAS 「2組の辺とその間の角」 congruent
ドイツの数学者ヒルベルトDavid Hilbert (1862–1943) は著書「幾何学基礎論」の中で,これを三角形の合同公理としています.

③ASS=ASS 「2組の辺とその間にない対応する角」 ambiguous case
上図左の場合です.角辺辺の順で等しい三角形が2つできます.

④ASS=SSA 「2組の辺とその間にない対応しない角」 ambiguous case
上図右の場合です.角辺辺と辺辺角が等しい三角形が2つできます.

⑤ASA=ASA 「2組の角とその間の辺」または「1組の辺とその両端の角」 congruent
内角の和は180ºなので自動的に3組の角が等しくなり,2つの角の間の辺は対応する辺なので,三角形は1つに決まります.

⑥AAS=AAS 「2組の角とその間にない対応する辺」 congruent
自動的に3組の角が等しくなり,対応する辺が等しいので,三角形は1つに決まります.「直角三角形の斜辺とひとつの鋭角」といいう条件はここに含まれます.「直角三角形の斜辺と他の1辺」も三平方の定理を既知としない場合は,一方を裏返して「他の1辺」を重ねて二等辺三角形を作り,その底角が等しくなることから,「直角三角形の斜辺とひとつの鋭角」という条件になるので,ここに含まれます.

⑦AAS=SAA 2組の角(自動的に3組)とその間にない対応しない辺 similar(相似)

⑧AAA=AAA 3組の角(2組の角で十分) similar

因みに米国では,ロバはDemocrats(民主党)のシンボルになっていて「家庭」を象徴しているのに対し,Republican(共和党)のシンボルはelephant(ゾウ)で「知識と力」の象徴だそうです.

Jul 13, 2016

Sig Figs

これはsignificant figuresの省略形で,s.f.とも表します.Significant(重要な,意味のある,著しい)とfigure(図,形,姿,人物,数字)を合わせて訳すなら,「意味のある図」または「意味のある数字」かなと思いますが,これは後者の意味を持つ「有効数字」のことをいいます.

例えば123456という値を,3 significant figures(有効数字3桁)で近似するという場合,上から3桁を有意な数として,4桁目を四捨五入し,decimal notation(10進表記)では123000,またはscientific notation(科学表記)なら$1.23\times 10^5$と表します.

Sig figs rules
①0でない数字はすべて有効数字である
例 123.45の有効数字は1, 2, 3, 4, 5の5桁
②0でない数字の間の0は有効数字である 
例 101.1203の有効数字は1, 0, 1, 1, 2, 0, 3の7桁
③0でない数字の前が全ての0の場合,前にある0は有効数字ではない
例 0.00052の有効数字は5, 2の2桁
④小数点以下の0は有効数字である
例 12.2300の有効数字は1, 2, 2, 3, 0, 0の6桁
⑤小数点なしの数の0でない数字の後の0は有効数字である場合とない場合がある
例 2000の有効数字は次の4つの場合が有り得る
  a) 2100を四捨五入して2000を得た場合の有効数字は2だけの1桁
  b) 2020を四捨五入して2000を得た場合の有効数字は2, 0の2桁
  c) 2003を四捨五入して2000を得た場合の有効数字は2, 0, 0の3桁
  d) 2000.4を四捨五入して2000を得た場合の有効数字は2, 0, 0, 0の4桁

このfigureという用語を「図」という意味で用いる場合,"The statistics are shown in figure 3"なら,「その統計は図3に示されている」という意味になります.またsignificantという用語はなしで,単にdouble figuresなら2桁(の数)という意味になります.またfigureは計算という意味もあり,"do figures"は「計算する」という意味にもなります.

因みに,人形のこともfigureといいますが,これは人物の形をしたものという意味から来ています.また,figure skatingのfigureは図形という意味で,元々氷上に図形を描くという競技でしたが,その語源となった種目のcompulsory figures(規定)は1990年に廃止され,今はshort programとfree skatingだけになっています.

【Sig Figs 問題】
Find, correct to 3 significant figures, the volume of the solid of revolution formed when these functions are rotated through 360º about the x-axis:
a) y=x^3/(x^2+1) for 1≤x≤3
b) y=e^(sinx) for 0≤x≤2

(正解はこちら

Jul 9, 2016

Bearing

Vectors(ベクトル)の応用問題の中には,直進する物体の進行方向を求めるものがあり,その解答は,bearing ≈ 300ºとか,bearing  ≈ 60º west of north などとなっています.前者はtrue bearing(真方位)といい,真北線からclockwise direction(時計回り)に何度というように表します.また後者はconventional bearing(よく使われる方位)で,南北線から東または西へ何度というように表します.

Cardinal Points(基本方位)は,north, south, east, and westの4方位で,NSEW(北南東西)の順でいいます.日本では普通,東西南北の順でいいますが.麻雀では東南西北という順ですね.さらにそれら4つの方位の間に,half-cardinal pointsまたはquadrantal pointsまたはintercardinal pointsまたはintermediate (or ordinal) directionsと呼ばれるnorth east(北東), south east(南東), south west(南西) and north west(北西)があります.

例えば右図でPの方位は,true bearingでは140º,conventional bearingでは40º east of southとなり,これはS40ºEとも表します.日本語で「南東40ºの方向」ということになります.飛行機や船などの航路の問題でdirectionを問われたらbearingで答えるのが一般的です.

【Bearing 問題】
Boat A is at (x1y1)=(2, 4) at exactly 2:17 pm. It sails with velocity vector (1, 3). Boat B is at  (x2y2)=(11, 3). It begins to sail with velocity vector (1, a) at 2:19 pm to meet the boat A. Distance units are metres and t is in minutes from 2:17 pm.
a) Find x1(t) and y1(t) for boat A.
b) Find x2(t) and y2(t) for boat B.
c) At what time do they meet?
d) What was the direction and speed of boat B?
(正解はこちら

<Reference>
Bearings
http://www.mathsteacher.com.au/year7/ch08_angles/07_bear/bearing.htm

Jul 7, 2016

Stars and Bars Method

直訳すると「星と棒の方法」となりますが,combination with repetition(重複組合せ)の問題,別名multichoose problemまたはstars and bars problemと呼ばれる問題を解く方法です.

例えばりんご,みかん,バナナの3種類が多数ある中から4個を選ぶとします.すると(りんご、みかん、バナナ)の数の組合せは、
①全種類から少なくとも一つは選ぶ場合
(1,1,2),(1,2,1),(2,1,1)
の3通りあります.
②選ばない種類があってもいい場合
(0,0,4),(0,1,3),(0,2,2),(0,3,1),(0,4,0),
(1,0,3),(1,1,2),(1,2,1),(1,3,0),
(2,0,2),(2,1,1),(2,2,0),
(3,0,1),(3,1,0),
(4,0,0)
の15通りと急に多くなります.

種類や選ぶ個数が多くなったらどうするか.ここでstars and bars methodを使います.n種類のものが多数ある中からr個を選ぶとしましょう.

②の場合から先に考えます.これは,r個の★とn-1個の仕切り|(たて棒)を一列に並べる場合の数,すなわち「2種類の同じものを含む順列」n+r-1Cr=n+r-1Cn-1と同じになります.例えば上の②の場合のいくつかをstars and barsで表すと次のようになります。
(0,0,4)=||★★★★
(1,0,3)=★||★★★
(1,1,2)=★|★|★★
(4,0,0)=★★★★||
2本の仕切りの左側がりんご,間がみかん,右側がバナナと決めておけば,すべて同じ★で表してもいいわけです.n+r-1Crは簡単にnHrと表します.この場合はn=3,r=4なので,3H4=3+4-1C4=6C4=6C2=15と計算できます.

日本の参考書等では★の代わりに○がよく使われていますから,circles and barsといってもいいかも知れません.

①の場合は,まず各種類から1個ずつ選んでおいて,残りのr-n個を②の場合と同様に考えます.すなわち,nHr-n=3H4-3=3H1=3C1=3で求められます.

以上をまとめると,
①全種類から少なくとも一つは選ぶ場合
nHr-n
②選ばない種類があってもいい場合
nHr=n+r-1Cr=n+r-1Cn-1

さて上の果物の問題は,方程式x+y+z=4の整数解の組の個数を求める問題といえます.
①は正の整数解の組の個数を求める場合で,(x,y,z)の組合せは3H4-3=3通りです.
②は負でない整数解の組の個数を求める場合で,(x,y,z)の組合せは3H4=15通りです.
これらの数の組をmultiset(多重集合)といいます.

②の場合,nHrと表しますが,binomial coefficient(二項係数)nCrを$\binom{n}{r}$と書くときは,nHrを$\left(\!\binom{n}{r}\!\right)$と書きます.以上をまとめて式で表すと次のようになります.$$ _n H_r =\left(\!\binom{n}{r}\!\right)= _{n+r-1} C_r=\binom{n+r-1}{r}=\left( n-1, r \right)!=\frac{(n+r-1)!}{(n-1)!r!}$$途中の式$\left( n-1, r \right)!$は,multinomial coefficient(多項係数)の2項の場合の表し方で,多項係数の場合は次の式になります.$$\left(n_{1},n_{2},\cdot\cdot\cdot,n_{k}\right)!=\frac{(n_{1}+n_{2}+\cdot\cdot\cdot+n_{k})!}{n_{1}!n_{2}!\cdot\cdot\cdot n_{k}!}$$
因みに,次数が等しい項だけでできている多項式をhomogeneous polynomial(同次多項式または斉次多項式)といい、このlike term(同類項)の種類の数が重複組合せになります.nHrのHはこのhomogeneousの頭文字から来ています.
(例)x,y,zでできる4次の項
(0,0,4)=||★★★★→z4
(1,0,3)=★||★★★→xz3
(1,1,2)=★|★|★★→xyz2
(4,0,0)=★★★★||→x4

<Reference>
Multichoose
http://mathworld.wolfram.com/Multichoose.html

May 7, 2016

SOHCAHTOA

三角比の覚え方です.直角三角形のある角$\theta$のsine(正弦), cosine(余弦), tangent(正接)の値は,hypotenuse(斜辺), opposite(対辺), adjacent(隣辺)を用いて,
$$\sin\theta=\frac{\mathrm{opposite}}{\mathrm{hypotenuse}}$$$$\cos\theta=\frac{\mathrm{adjacent}}{\mathrm{hypotenuse}}$$$$\tan\theta=\frac{\mathrm{opposite}}{\mathrm{adjacent}}$$
と定義されます.英語では分数は分子から読みますから,例えばsinはopposite over hypotenuse(またはopposite devided by hypotenuse)なのでSOHという順になり,これらの頭文字をとって,SOHCAHTOAと覚えましょうというわけです.日本ではよく図のような覚え方が参考書などで紹介されています.$$\sin\theta=\frac{y}{r}, \quad \cos\theta=\frac{x}{r}, \quad \tan\theta=\frac{y}{x}$$海外では高校程度の教科書に,他の三角関数として,sine, cosine, tangentのreciprocal(逆数)であるcosecant(余割), secant(正割), cotangent(余接),まとめてreciprocal trigonometric function(割三角関数)がよく登場します.SOHCAHTOAと同じように,CHOSHACAOという覚え方があります.
$$\csc\theta=\frac{\mathrm{hypotenuse}}{\mathrm{opposite}}, \quad \sec\theta=\frac{\mathrm{hypotenuse}}{\mathrm{adjacent}}, \quad \cot\theta=\frac{\mathrm{adjacent}}{\mathrm{opposite}}$$このうちsecantとtangentは別の意味で,つまりsecantは割線,tangentは接線という意味でよく使われます.割線とは2点を通る直線という意味ですが,日本の高校教科書ではこの用語は使われていません.$$\csc\theta=\frac{r}{y}, \quad \sec\theta=\frac{r}{x}, \quad \cot\theta=\frac{x}{y}$$またinverse function(逆関数)であるarcsineまたは$\sin^{-1}$, arccosineまたは$\cos^{-1}$, arctangentまたは$\tan^{-1}$も,世界中でインターナショナルスクールを中心に広く普及している教育課程「国際バカロレア」の高校数学Higher Level(主に理系)では登場します.周期関数の逆関数は多価関数になるので,定義域を制限して一価関数にしたものを特に主値と呼び,最初を大文字で表します.例えば,sin30°=1/2なので,次式が成り立ちます.$$\mathrm{Arcsin}\left(\frac{1}{2}\right)=\mathrm{Sin}^{-1}\left(\frac{1}{2}\right)=30^{\circ}$$

May 5, 2016

FOIL Method

日本の中学数学3で学習するbinomial(2項式)同士の積を展開するには次のように計算します.$$(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd$$この計算は,まずFirst terms同士を掛け(ac), 次にOuter(ad), Inner(bc), Last(bd)と計算するので,これらの頭文字をとってFOIL methodといいます.このような覚えやすい方法をmnemonicといい,このように頭文字をとって新たな単語のように読む用語はacronym(頭字語)といいます.右の計算の続きはこうなります.
\begin{align}
(2x+3)(4x-5)&=2x\cdot4x+2x\cdot(-5)+3\cdot4x+3\cdot(-5)\\
&=8x^2-10x+12x-15\\
&=8x^2+2x-15\\
\end{align}
この方法は他にも面白い言い方があって,crab claw method ともいいます.直訳すると「カニの爪」ですが,図のように掛けるもの同士を結ぶとカニの爪に見えるというところからこう呼ばれています.

日本ではこの計算方法に特別な名前はありません.

この応用として,binomial theorem(二項定理),trinomial theorem(三項定理),multinomial theorem(多項定理)があります.

二項定理
\begin{align}
(a+b)^2&=a^2+2ab+b^2\\
(a+b)^3&=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\\
(a+b)^n&=a^n+\binom{n}{1}a^{n-1}b+\cdot\cdot\cdot+\binom{n}{n-1}ab^{n-1}+b^n\\
&=\sum_{k=0}^{n}\binom{n}{k}a^{n-k}b^k\\
\end{align}

ここで各項のcoefficient(係数)は,$$\binom{n}{k}=\frac{n!}{k!(n-k)!}$$で得られ,これらを並べるとPascal's triangle(パスカルの三角形)ができます.

三項定理 (日本の高校教科書ではこれを多項定理と呼んでいます)
\begin{align}
(a+b+c)^2&=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\\
(a+b+c)^3&=a^3+b^3+c^3+3a^2b+3a^2c+3b^2a+3b^2c+3c^2a+3c^2b+6abc\\
(a+b+c)^n&=\sum_{\substack{i+j+k=n}}\binom{n}{i,j,k}a^ib^jc^k\\
\end{align}ここで各項の係数は,$$\binom{n}{i,j,k}=\frac{n!}{i!j!k!}=(i,j,k)!$$で得られ,これらを並べるとPascal's tetrahedron(パスカルの正四面体)またはPascal's pyramid(パスカルのピラミッド)ができます.

多項定理
\begin{align}
(a_1+a_2+\cdot\cdot\cdot+a_m)^n&=\sum_{k_1+k_2+\cdot\cdot\cdot+k_m=n}\binom{n}{k_1,k_2,\cdot\cdot\cdot,k_m}\prod_{1\leq t\leq m}a_t^{k_t}\\
\end{align}ここで各項の係数は,$$\binom{n}{k_1,k_2,\cdot\cdot\cdot,k_m}=\frac{n!}{k_1!\cdot k_2!\cdot\cdot\cdot k_m!}=(k_1,k_2,\cdot\cdot\cdot, k_m)!$$で得られ,これらを並べるとPascal's simplex(パスカルの単体)ができます.このsimplex単体)とは,0次元の点,1次元の線分,2次元の三角形,3次元の四面体をn次元に一般化したものです.

因みに,このfoilという単語はもともとあって,金属の薄片,箔を意味します.あまりご縁はありませんが,ネイルアートでは爪にnail foilという薄片を貼りつけて装飾します.台所用品のアルミホイル(アルミ箔)は,実はaluminium foilなので,アルミフォイルと呼ぶべきところです.似たような言葉でアルミホイールといえば車に装備するaluminium wheelになります.

May 3, 2016

Tabular Method

表を使う方法という意味のtabular methodは,表解法,表手法,テーブル法などと和訳されていて,高校数学Ⅲのintegration by parts(部分積分)$$\int{uv'}dx=uv-\int{u'v}dx$$のところで,繰り返しの必要な計算を速くするのに役立ちます.この方法は映画"Stand And Deliver(落ちこぼれの天使たち)"(1987年)の中で紹介されたのでStand And Deliver method,または3×3の表に○×を並べていくゲーム"Tic Tac Toe(三目並べ)"に因んでTic-Tac-Toe method(因数分解にもこう呼ばれる解法があります),あるいはrapid repeated integration(直訳すると迅速反復積分?)とも呼ばれることがあります.

具体例をひとつ見てみましょう.下の表より,$$\int{x^2\sin x}dx=-x^2\cos x+2x\sin x+2\cos x+C$$

右側の表をじっくり見てみましょう.左の列は$x^2$を次々に微分したもの,中央の列は$\sin x$を次々に積分したもの,右の列は符号です.折れ線でつながるものを与式の右辺に書き出せば正解が得られます.

繰り返し部分積分を必要とする関数にはexponentials(指数関数),logs(対数関数),trig functions(三角関数),inverse trig functions(逆三角関数),powers(べき関数)別名algebraic functions(代数的関数)の5つがあります.参照した論文ではこの5つの覚え方を次のように紹介していました.
When doing integration by parts, We want to try first to differentiate Logs, Inverse trig functions, Powers, Trig functions and Exponentials. This can be remembered as LIPTE which is close to ”lipton” (the tea).
For coffee lovers, there is an equivalent one: Logs, Inverse trig functions, Algebraic functions, Trig functions and Exponentials which can be remembered as LIATE which is close to ”latte” (the coffee).
(Integration by parts - Harvard Mathematics Department)
5つの関数の頭文字をとって,紅茶好きはliptonに似たLIPTE,コーヒー好きはlatteに似たLIATEと覚えましょうというわけです.

他の分野でもtabular methodという名前のついた解法があり,応用数学ではlinear convolution(線形畳み込み),ブール代数ではminimisation(最小化)などに使われていますが,表を使うということが共通なのであって,実際の方法は全く異なります.

【Tabular Method 問題】
1 Integrate $\displaystyle\int{x^2\log x}dx$
2 Find the anti derivative of $\displaystyle\int{x^6e^x}dx$
3 Find the antiderivative of $\displaystyle\int{e^{-x}\sin x}dx$
(正解はこちら

<Reference>
Integration by parts - Harvard Mathematics Department
http://www.math.harvard.edu/~knill/teaching/math1a_2012/handouts/39-parts.pdf