直訳すれば「根の和と積」という意味ですが,高校数学で登場する「二次方程式の解と係数の関係」のことです.これをn次方程式に一般化したものはVieta's formulas(ヴィエタの公式)といいますが,二次方程式の場合だけでもVieta's formulasと呼ぶ場合があります.
二次方程式の解と係数の関係は,2解を$\alpha$,$\beta$とすれば,$$ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta)=a(x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta)$$の係数を比較して,$$\alpha+\beta=-\frac{b}{a}, \quad \alpha\beta=\frac{c}{a}$$となりますが,これがn次式方程式になると,n個の解を$r_i$で表せば,$$a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0 = a_n(x-r_1)(x-r_2)\cdots(x-r_n)$$右辺を展開して,
$$a_nx^n - a_n(r_1+r_2+\!\cdots\!+r_n)x^{n-1} + a_n(r_1r_2 + r_1r_3+\! \cdots\!+ r_{n-1}r_n)x^{n-2}$$$$+\! \cdots\! + (-1)^na_n r_1r_2\cdots r_n$$
左辺と係数比較して,$$r_1+r_2+\cdots+r_n=-\frac{a_{n-1}}{a_n}$$$$r_1r_2+r_1r_3+\cdots+r_{n-1}r_n=\frac{a_{n-2}}{a_n}$$$$\vdots$$$$r_1r_2\cdots r_n= (-1)^n \frac{a_0}{a_n}$$となります.
似たような名前で,Viète's formula(ヴィエトの公式)というのがあります.これはπ(PI=円周率)を無限積表示する次の公式です.$$\pi=2\prod^{\infty}_{n=1}\frac{2}{a_n}$$(ただし,$a_n$は次の漸化式を満たす数列 $a_{n+1}=\sqrt{2+a_n}$, $a_1 =\sqrt{2}$)
実はVietaとVièteは,フランスの数学者François Viète(1540–1603)のラテン語表記と仏語表記です.非常に珍しい例ですが,同一人物の名前がついているのに異なる公式になっています.同一人物なんだから同じ名前の表現を使いたいというときは,Vieta's root formulasとVieta's formula for PI,またはViète's lawsとViète's formulaと呼ぶ場合があります.
<Reference>
Vieta's formulas - Art of Problem Solving
https://www.artofproblemsolving.com/wiki/index.php?title=Vieta%27s_Formulas
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