ドイツ語で"Mitternachtformel",英語で"midnight formula",すなわち「真夜中の公式」という意味ですが,実はquadratic formula(2次方程式の解の公式)のことです.$$ax^2+bx+c=0$$ $$x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\tag{1}$$ You have to be able to recite it when suddenly woken at midnight(真夜中に急に起こされても暗唱できるようにしなさい)と言われるほど重要だということでしょう.それだけ重要なので,覚えるための歌もあります.
式(1)でb=2b'とすると,
$$x=\frac{-b'\pm\sqrt{b'^2-ac}}{a}\tag{2}$$
となりますが,これはbが偶数のときに後で約分する必要がなくなるのでよく使われています. また,式(1)の分子の有理化をすると次の式になりますが,これはあまり知られていません.
$$x=\frac{-2c}{b\pm\sqrt{b^2-4ac}}\tag{3}$$ $x^2$の係数を1にした式(monic equation)で$x$の係数をp,定数項をqとしたときは特に"pq-formula"といいます.
ところで,midnight formulaという言い方は主にドイツで使われていますが,ドイツでは円周率もLudolph numberという特別な呼び方があります.ドイツ出身で後にオランダへ移住したLudolph van Ceulen(1540–1610)が,アルキメデスと同じ正多角形の周長から求める方法で小数35桁まで計算したので,その功績を称えてこう呼ばれています.日本でも江戸時代に建部賢弘(たけべかたひろ 1664-1739)が小数41桁まで計算したので,円周率の別名として「建部数」と呼んでもいいのかもしれません.
<Reference>
「円周率を計算した男」(鳴海 風 著)
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