Jan 31, 2016

Argand Diagram

Cartesian plane(デカルト平面)の x軸を real axis(実軸)とし,y軸を imaginary axis(虚軸)として複素数$z=x+yi$を表す平面は,complex plane(複素平面),または Gauss(1777-1855)が導入したのでGaussian plane(ガウス平面),または複素数はよくzで表されるのでz-plane(z平面)ともいいます.さらにこの別名で英書によく登場するのが,ガウスより先に用いたとされるJean-Robert Argand (1768–1822)の名をとった Argand plane(アルガン平面)と Argand diagram(アルガン図)という呼び方です.

Wolfram Math Worldというサイトでは,
the Argand diagram (also known as the Argand plane)
WikipediAというサイトでは,
The complex plane is sometimes called the Argand plane because it is used in Argand diagrams
Maths is Funというサイトでは,
plane for complex numbers (It is also called an "Argand Diagram")
Haese MathematicsというIBの教科書では,
We can illustrate complex numbers using vectors on the Argand plane. We call this an Argand diagram.

このように,Argand planeとArgand diagramは同じ意味に使われることが多いですが,時にはArgand plane上にcomplex numbersを図示したものをArgand diagramと呼ぶ場合があります.この用語は日本ではあまり使われませんが,英語での出題で時々用いられるので知っておきたいところです.

複素関数(複素数から複素数への関数)$w=f(z):z=x+yi\rightarrow w=u+vi$は高校では扱われませんが,少し見てみましょう.

複素関数の一次関数は一次分数関数ともいって,$w=\frac{az+b}{cz+d}$で表され,具体的には$w=az, \space \space w=z+b, \space \space w=\frac{1}{z}$の3つの場合があります.はじめの2つは,直線は直線,円は円に写るのですが,最後の式は,直線が円,円が直線に写る場合があります.

複素関数の指数,対数,三角関数はEuler's formula(オイラーの公式)$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$を元に定義されます.$z=x+yi=r(\cos\theta+i\sin\theta)$としましょう.

まず指数関数は次式になります.$$e^z=e^{x+yi}=e^x\cdot e^{yi}=e^x(\cos y+i\sin y)\tag{1}$$この式にはsinとcosが含まれるので,$e^{z+2n\pi i}$がすべて同じ値になるような周期関数になります.

次に対数関数は次式になります(以降,$\log_e$は$\ln$と書きます).$$\ln z=\ln(re^{i\theta})=\ln r+\ln e^{i\theta}=\ln r+i\theta\tag{2}$$Euler's formulaに$\theta=\pi$を代入するとEuler's identity(オイラーの等式)$$e^{i\pi}=\cos\pi+i\sin\pi=-1$$が得られますが,これを対数の定義で変形すると次式になり,「対数の真数は正」という高校数学の常識が覆ります.$$\ln(-1)=i\pi$$しかし,$z=-1$となるのは$r=1$,$\theta=\pi+2n\pi$のときなので式(2)は無限多価関数になり,$\ln(-1)$は$\pi i$以外にも$3\pi i$,$5\pi i$など,無限個の値をとることになります.

次に三角関数です.z=x+yiのxとyが複素数であってもzはやはりa+biの形になるので,Euler's formulaより$$e^{iz}=\cos z+i\sin z\tag{3}$$$$e^{-iz}=\cos z-i\sin z\tag{4}$$(3)と(4)の和と差をそれぞれ2,2iで割ると$$\cos z=\frac{e^{iz}+e^{-iz}}{2}$$$$\sin z=\frac{e^{iz}-e^{-iz}}{2i}$$となり,これが複素関数の三角関数の定義になっています.もう少し学習が進むと分かるのですが,複素関数を使うと,実数のままでは難しい積分計算も簡単にできる場合があります.その例をひとつあげておきます.$$\int_0^{\infty} \frac{\sin x}{x}dx=\frac{\pi}{2}$$
<Reference>
"Argand Diagram" Wolfram Math World
"Complex plane" WikipediA
"Complex Plane" Maths is Fun
"Mathematics for the international student Mathematics HL (Core) third edition" Haese Mathematics
「解析概論」 高木貞二著


No comments:

Post a Comment