The angle between the tangent and chord at the point of contact is equal to the angle in the alternate segment.この"tangent and chord"が「接線と弦」という意味なので,この定理は「円の接線と弦の作る角の定理(接弦定理=円の接線とその接点を通る弦が作る角は、その角の中にある弧の円周角に等しい)」を意味しています.ところが英語では"tangent chord theorem"とはあまり呼ばれず,一般にalternate segment theoremと呼ばれています.
もともとalternateは「交互の」とか「反対側の」という意味で,例えば錯角も,2本の平行線の内側に交互に存在するのでalternate interior angleといいます.またsegmentは「部分」とか「区分」という意味で,数学では直線の部分なら線分を意味しますが,ここでは円の部分,すなわち弦によって分割される弓形(弦と弧で囲まれた図形)を意味しています.弦が直径の場合は2つのsemicircle(半円)になりますが,そうでない場合は大きい弓形major segment(優弓形)と小さい弓形minor segment(劣弓形)に分かれます.これはmajor arc(優弧)とminor arc(劣弧)と同様の呼び方ですね.
接線と弦の間の角から見て,その弦に関して反対側の弓形をalternate segmentといい,その中の角がthe angle in the alternate segmentになります.従って,「弦に関して同じ側の弓形の弧の円周角」は「弦に関して反対側の弓形の中の角」と同じ意味になります.なのでalternate segment theoremを直訳すると「反対側弓形の定理」と言えそうです.
「ユークリッドの原論」第3巻命題32の表現を見てみましょう.
Euclid's Elements Book III Proposition 32
If a straight line touches a circle, and from the point of contact there is drawn across, in the circle, a straight line cutting the circle, then the angles which it makes with the tangent equal the angles in the alternate segments of the circle.
直線が円に接していて,接点から円を分割する直線が引かれているとき,その直線と接線とでできる角は,反対側にある弓形の中の角に等しい.
2000年も前からalternate segmentsという言葉が使われていたのですが,どうやらこの定理を日本語訳するときに,alternate segmentsよりもtangent and chordの方が訳し易かったのではないかと思います.
<Reference>
Teach GCSE Math, Alternate Segment Theorem
http://slideplayer.com/slide/677852/
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