straightedge=幻覚剤・酒・たばこなどに手を出さない生き方
compass=羅針盤,方位磁針
construction=建設,建築,構文,構造
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他にruler-and-compass construction,classical construction,geometric construction,Euclidean constructions という言い方があります.「作図」を直訳して figure construction という場合もありますが,こちらは人物画を描くという意味の方によく使われているようです.
普通に図を描くことも広い意味で作図といえますが,一般に数学における作図といえば,straightedge and compass construction のことを指していて,"Euclid's Elements(ユークリッドの原論)" に初めて登場したので,Euclidean constructions ともいうわけです.定規といえば ruler を思い浮かべますが,straightedge(直定規)という用語がよく使われています.
この straightedge and compass construction は,日本ではまず中1で直線外の点を通る垂線,線分の垂直2等分線,角の2等分線,中3では平方根で表される長さ,高校数学Aで等分点などを作図する方法として登場しています.
正n角形の作図可能性
Equilateral triangle(正3角形),square(正4角形)とそれから派生する regular hexagon(正6角形),regular octagon(正8角形)が constructible(作図可能)であることはギリシャ時代から知られています(以下 regular を省略します).Pentagon(正5角形)もギリシャ時代に constructible であることがわかっていましたが,残念ながら,あのアルキメデスでさえも正7角形,正9角形の作図には成功しなかったようです.
1796年3月30日の朝,19才のガウスが目覚めたとき,heptadecagon(正17角形)の作図法がひらめいたそうです.そしてその後ガウスは次のことを証明しています.
定理
四則演算とべき乗根を用いて表される数は作図可能である.
定理
代数方程式 zn−1=0 が四則演算とべき乗根だけで解けたら、正n角形が作図可能である.
ということから,
定理
nの値が2のべき乗(2αで表される数)であるか,フェルマー素数すなわち「22m+1で表される素数」であるか,またはこれらの2種類の数の積であるとき,すなわち,
n=2α・p1 ・p2 ・・・・・・pk (ただしpmはフェルマー素数)
のときに、正n角形は作図可能である.
α=0かつm=0のときn=3となり正3角形,α=2で2のべき乗だけのときn=4となり正4角形、α=0かつm=1のときn=5となり正5角形,α=1かつm=0のときn=6となって正6角形が作図可能ですが,7や9はこの形で表せないので作図不可能です.そして,α=0かつm=2のときが正17角形になります.さらに,257-gon(正257角形,m=3)の作図法が1832年に,65537-gon(正65537角形,m=4)の作図法が1900年ごろに発見されました.正n角形は代数方程式 zn−1=0 を解けばいいのですが,nの値が大きくなるにつれてどんどん複雑になっていきます.
[Straightedge and Compass Construction 問題]
1) Construct a equilateral triangle.
2) Construct a regular pentagon.
解答はこちら
[Reference]
「数学入門(上)」遠山啓著 岩波新書