Apr 4, 2021

Pizza Theorem

食べ物の名前のついた定理がいくつかあります.

Pancake Theorem(パンケーキの定理)は,「2つのパンケーキ(形は円でなくてもよいし,重なっていても離れていてもよい)は1つの直線でそれぞれを2等分できる」という定理で,それを3次元に拡張したものをHam Sandwich Theorem(ハムサンドイッチの定理)といいます.

Chicken McNugget Theorem(チキン・マックナゲットの定理)は,「互いに素な$m$個入り,$n$個入りパックの組み合わせで買えない最大の個数は$mn-m-n$個である」という定理で,もともとチキン・マックナゲットが9個入り,20個入りで販売されていたのが発祥の定理です.

Pizza Theorem(ピザ の定理)1968年
ピザ(この形は円でなければいけません)を,円内の任意の点Pを通る$2n$本の直線で中心角が$\frac{\pi}{2n}$ (radian) になる扇形みたいな図形$4n$個に分割したとき, 分割された各部分を2人で同じ方向に交互に取っていくと,その和がそれぞれ同じ面積になる.ただし,$n≥2$.

[Quiz]
n=1のときの分割は何本の直線でいくつに分割し,できたおうぎ形みたいな図形の中心角は何度でしょう?

[Answer](この下の行をドラッグしてください)
2本の直線で4分割,中心角はπ/2(radian)=90°

n=2のとき4本で8分割,n=3のとき6本で12分割

上図でいうと,n=2のときは紫色と黄色の部分,n=3のときは緑色と橙色の部分の面積が等しいという定理です(1999年には「$n$人で交互に取っていっても,その和がそれぞれ同じ面積になる」ことが示されました).

n=1のとき,すなわち2本で4分割したときはなぜダメなのでしょう.

右図の円の半径をR,中心をOとします.点Pで直交する2本で4分割されたとして,中心Oを通る2本の直径とでできる9個の領域をa~iとすると,
  右上+左下=a+e+h+i+c=a+(i+g)+(i+f)+i+c
                      >a+g+f+i+c=$\frac{\pi R^2}{2}$
となり,右上+左下>半分>左上+右下になるからです.つまり,4分割では交互に取っても2人の取り分は同じ面積になりません.

n=2のとき,すなわち4本で8分割したときに定理が成り立つことを確認してみましょう.

右図で$PA=r(\theta)$,$PE=r(\theta+\frac{\pi}{4})$とすると,扇形みたいな形APEは,$\theta$を細かくすると,ほとんど扇形になるので,扇形の面積の公式$S=\frac{1}{2} r^2  \theta$より,$\varDelta S=\frac{1}{2} r(\theta)^2 \varDelta \theta$となりますから,この部分の面積$S_1$は$$S_1=\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{4} \frac{1}{2}r(\theta)^2 d\theta$$となります.これから交互に4つ取ると,$$S_1+S_3+S_5+S_7=\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{4} \frac{1}{2} \left \{ r(\theta)^2+r \left(\theta+\frac{\pi}{2}\right)^2+r(\theta+\pi)^2+r \left(\theta+\frac{3\pi}{2}\right)^2 \right \}d\theta$$となりますが,これは$$\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{4} 2R^2d\theta\tag{1}$$となることが分かっていて(理由はこの後すぐ),するとこの続きは$$\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{4} 2R^2d\theta=2R^2\displaystyle \int_0^\frac{\pi}{4} d\theta=2R^2 \left[ \theta \right] _0^\frac{\pi}{4}=2R^2\cdot\frac{\pi}{4}=\frac{\pi R^2}{2} $$となって,交互に取った1人分の面積はちょうど円の半分になることが分かります.

さて$(1)$の理由です.
$r(\theta)=PA=a$,$r(\theta+\frac{\pi}{2})=PB=b$,$r(\theta+\pi)=PC=c$,$r(\theta+\frac{3\pi}{2})=PD=d$とすると,$$R^2=OA^2=ON^2+NA^2=MP^2+NA^2=\left( \frac{b-d}{2}\right)^2+\left(\frac{a+c}{2}\right)^2$$$$R^2=OB^2=OM^2+MB^2=NP^2+MB^2=\left( \frac{a-c}{2}\right)^2+\left(\frac{b+d}{2}\right)^2$$辺々加えると,$$2R^2= \frac{1}{2}\left(a^2+b^2+c^2+d^2\right)$$となり,$(1)$が示されました.

因みに,Wolfram MathWorld には the second pizza theorem というのが紹介されていて,こう書かれてありました(笑).
This one gives the volume of a pizza of thickness a and radius z:
pi z z a. 

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