Jan 20, 2016

Alternate Segment Theorem

この定理の説明の英文は次のようになります.
The angle between the tangent and chord at the point of contact is equal to the angle in the alternate segment.
この"tangent and chord"が「接線と弦」という意味なので,この定理は「円の接線と弦の作る角の定理(接弦定理=円の接線とその接点を通る弦が作る角は、その角の中にある弧の円周角に等しい)」を意味しています.ところが英語では"tangent chord theorem"とはあまり呼ばれず,一般にalternate segment theoremと呼ばれています.

もともとalternateは「交互の」とか「反対側の」という意味で,例えば錯角も,2本の平行線の内側に交互に存在するのでalternate interior angleといいます.またsegmentは「部分」とか「区分」という意味で,数学では直線の部分なら線分を意味しますが,ここでは円の部分,すなわち弦によって分割される弓形(弦と弧で囲まれた図形)を意味しています.弦が直径の場合は2つのsemicircle(半円)になりますが,そうでない場合は大きい弓形major segment(優弓形)と小さい弓形minor segment(劣弓形)に分かれます.これはmajor arc(優弧)とminor arc(劣弧)と同様の呼び方ですね.

接線と弦の間の角から見て,その弦に関して反対側の弓形をalternate segmentといい,その中の角がthe angle in the alternate segmentになります.従って,「弦に関して同じ側の弓形の弧の円周角」は「弦に関して反対側の弓形の中の角」と同じ意味になります.なのでalternate segment theoremを直訳すると「反対側弓形の定理」と言えそうです.

「ユークリッドの原論」第3巻命題32の表現を見てみましょう.
Euclid's Elements Book III Proposition 32
If a straight line touches a circle, and from the point of contact there is drawn across, in the circle, a straight line cutting the circle, then the angles which it makes with the tangent equal the angles in the alternate segments of the circle.
直線が円に接していて,接点から円を分割する直線が引かれているとき,その直線と接線とでできる角は,反対側にある弓形の中の角に等しい.

2000年も前からalternate segmentsという言葉が使われていたのですが,どうやらこの定理を日本語訳するときに,alternate segmentsよりもtangent and chordの方が訳し易かったのではないかと思います.

<Reference>
Teach GCSE Math, Alternate Segment Theorem
http://slideplayer.com/slide/677852/

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